MIDIとは?

※この記事には一部プロモーションを含みます。
DAWや、DAWレスのマシンライブなどを始める際に必ず現れる、MIDI。
分かっているようで、分かっていないかも…
そう思い、一度思い切り深掘りして知識を深めようと思いこの記事を書いています。
MIDIは、デジタルの楽譜の書き方のルールです。
音ではなくて、楽譜について決めた約束ごとなんですね。
楽器同士が同じルールで楽譜を書けるので、メーカーが違っても読み合えます。
書かれた楽譜は数字のデータです。
ケーブルの中を電気の信号になって流れていきます。
音そのものは流れません。
運ばれるのは楽譜だけ。これがパッと言えるMIDIです。

susuman
この記事では、MIDIをより深く、楽譜のたとえで説明していきます。
歴史やDAWレスでの使い方も書いたので、気になるところから読んでみてください。
MIDIの意味は?本名を3つに分けてみる
MIDI(ミディ)は、Musical Instrument Digital Interfaceの頭文字です。
3つに分けると、意味が見えてきます。
| 単語 | 意味 | 楽譜でいうと |
|---|---|---|
| Musical Instrument | 楽器 | 電子楽器 |
| Digital | 数字 | 数字で書いた楽譜 |
| Interface | つなぎ方の約束ごと | 楽譜の受け渡しルール |
MIDIは直訳すると「楽器をデジタルでつなぐための約束ごと」です。
「インターフェース」と聞くと、箱型の機材を思い浮かべる人もいるかもしれません。
でもここでの意味は、機材のことではなく、目に見えない約束ごとです。

MIDIに出てくる言葉
| 言葉 | 楽譜でいうと |
|---|---|
| MIDI | 楽譜の書き方 |
| MIDIケーブル | 楽譜を運ぶ道 |
| MIDI端子(OUT・IN) | 楽譜の出し入れ口 |
| MIDIスルーボックス | 楽譜のコピー機 |
| MIDI対応楽器 | 楽譜を読み書きする |
MIDIが決めていることは3つあります。
- 書き方:数字のメッセージをどう書くか(データ)
- 運び方:電気をどう流すか(信号)
- 入れ物:端子の形やファイルの形


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よく「MIDI信号」という言い方をすることがありますが、MIDIそのものは信号ではなく。
信号の流し方まで含めた、約束ごとです。
録音とMIDIは何が違う?
録音は、演奏の音そのものです。
MIDIは、演奏の楽譜です。
楽譜はそのままでは音が出ません。
演奏者が弾いて、はじめて音になります。
MIDIの演奏者は音源です。
シンセやサンプラーのことですね。
同じ楽譜でも、演奏者が変わると音が変わります。
ピアノの楽譜をバイオリンに弾かせることもできます。

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DTMで見るピアノロールは、MIDIの楽譜を見やすくしたものです。

MIDIの楽譜はどう書くの?
紙の楽譜に書くことを、MIDIでは数字で書きます。
| 楽譜に書くもの | MIDIでは |
|---|---|
| 音符の高さ(五線の位置) | ノート番号(0〜127。60がド) |
| 音符の長さ | ノートオンからノートオフまでの長さ |
| 強弱記号(p、f) | ベロシティ(0〜127) |
| パート(楽器ごとの段) | チャンネル(16段) |
| 楽器の指定 | プログラムチェンジ(音色の番号) |
| テンポ記号 | MIDIクロック |
| ペダル記号 | コントロールチェンジ(CC64番) |
| スタッカート、スラー | 専用の記号はない。音の長さと重なりで表す |
紙の楽譜はあらかじめ「こう弾いてください」と書くものです。
MIDIは「こう弾いた」をそのまま書き取るのも得意です。
つまり、弾いたフレーズがそのまま楽譜になります。

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スタッカートやスラーはMIDIの記号がないので指示ではできませんが、記号がなくても短く弾いたという事実が数字で残ります。
音符1つは、3つの数字
たとえば「ド」を強めに弾くと、MIDIは3つの数字を送ります。
| 順番 | 書いたこと | 例 |
|---|---|---|
| 1つ目 | どのパートが何をしたか | ノートオン(音を出す) チャンネル1 |
| 2つ目 | どの高さの音か(0〜127) | 60(ド) |
| 3つ目 | どのくらいの強さか(0〜127) | 100(強め) |

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何をするか、どの音か、どのくらいの強さか。
紙の楽譜に必要な情報と同じです。

音を止める印
鍵盤を押すと「ノートオン」が届きます。
離すと「ノートオフ」が届きます。
この止める指示が届かないと、音が鳴りっぱなしになることがあります。
終わりの指示を書き忘れた楽譜みたいなものです。

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機材をつないで音が止まらなくなったときは、これが関係しているかもしれません。
DAWで作っていた時はたまにありました。
なぜ0〜127なの?
MIDIの数字は0から127まで、全部で128段階です。
なんだか中途半端な数ですね。
これには理由があります。
数字を入れる箱は、8つのスイッチでできています。
先頭の1つは、「はじまりの合図」か、「他の数字か」を見分ける指示に使われます。
残りは7つ。
スイッチ7つで表せる数は、2を7回かけた128通りになります。

susuman
文系出身の私には、こういった数式はもうよくわかりません(笑)
127までなのは理由があるのねーくらいの理解でいいと思います。

16チャンネルは、16段の総譜
オーケストラの楽譜は、パートごとに段が分かれています。
MIDIのチャンネルはこの段にあたります。
段は全部で16あります。
同じケーブルを通って、16パート分の楽譜が流れます。
MIDIを受け取る楽器たちは、自分の段だけを読みます。
お利口!
MIDIファイルはなぜ小さいの?
MIDIファイルは、音ではなくて楽譜の記録です。
だから数分の曲でも、数KBから数十KB程度のことが多いです(曲によって違います)。
録音した音(WAVやMP3)は、音そのものを残すので何倍も大きくなります。
楽譜と録音の違いですね。

susuman
誤ってMIDIで保存してしまい、しょぼいピアノの音で曲が流れた経験はありますでしょうか。
私は、あります(笑)
容量を見ると明らかに小さいので、そこでMIDIなのか音楽データなのかは一目瞭然になります。
テンポ記号は、MIDIクロック
楽譜には「♩=120」のようなテンポ記号があります。
BPMというやつですね。
クロックの合図「スタート」「ストップ」で、全部の楽器が一緒に動き出します。
DAWレスでシーケンサーを動かすと他の楽器も動くのは、この合図のおかげです。
一般的に機材の同期設定で「MIDIクロック同期」を有効にすると。
「スタート」・「ストップ」の信号もセットで、一緒に送受信される仕様になっていることがほとんどです。
もし「テンポ(BPM)は合っているのに、親機を再生しても子機が自動でスタートしない」という場合は。
子機が「曲の途中からのスタート(Continue)」に対応していない場合があります。
古いシンセや一部の機材は、このContinue信号を無視してしまい、スタートしないことがあります。
この場合は、親機側で必ず曲の先頭(1小節目)に戻してから再生してみてください。

susuman
機材によっても、楽譜が一部読めない子もいるわけですね…
DAWレスで、複数の楽器に送るには?

ちなみに、一台のシンセから複数のシンセに同時に指示を出すためには、MIDI Thru Boxなどがあると良いです。
MIDI THRU端子とは?数珠つなぎでつなぐ
DAWレスでは、1台のシーケンサーから複数の楽器を同時に動かしたくなりますよね。
シンセ、ドラムマシン、サンプラー。
全部に同じ楽譜を送りたいところです。
でも、ここに壁があります。
MIDI OUTは1台にしかつなげません。
楽譜を出す口は1つで、受け取る人も1人だけです。
楽器にTHRU端子があれば、受け取った楽譜をそのまま次の楽器に流せます。
これにより、数珠つなぎができます。
ただ、弱点もあります。
THRU端子がない楽器も多いこと(特に小型の楽器)。
また、台数が増えると少しずつ遅れが積み重なると言われています。
MIDIスルーボックスとは?コピー機のように配る
そこで、DAWレスではスルーボックスを間に入れます。
楽譜のコピー機のような機材です。
1つの楽譜を何台にも配ってくれます。

例:CME MIDI Thru5 WC
有名なのはKENTONのMIDI Thru Boxだけど、高いので。
手始めには全然これでOK。
私も実際に使ってますが、繋ぐだけで分かりやすいしオススメです。
こちらは5台まで同時に指示を出すことができます。
- MIDI INが1つ、THRUが5つ(5ピン)
- 入ってきた楽譜をそのまま5台に配れる
- USB(Type-C)で給電できる
USB MIDIの楽器は?
USB MIDIの楽器どうしは、そのままではつながりません。
パソコンのような「親」になる機器が必要です。
DAWレスでUSBの楽器だけを使うときは、親になれる箱がいります。
こういったUSB MIDI変換器があれば解決します。
ちなみに私の持っている機材だと、CASIO SXC-1という小型サンプラーはType-CのUSB MIDIです。
なので、こちらを手配しました。
MIDIの接続方法は?ケーブルは3種類
MIDIの規格に合わせた、楽譜を運ぶ道(ケーブル)は、おもに3つあります。
- 5ピン(DIN)
昔からのMIDIの標準です。 - USB
パソコンや昔の機材に多い印象。最近はType-CがMIDI端子になっている機材もある。 - TRS(ミニプラグ)
小型の楽器に多い。
USBでつなぐときは、以下のようなデータ通信ができるケーブルを使います。
見た目が同じだから分かりづらいけど、充電専用のケーブルだとつながりません(超重要)

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ケーブルがいろいろ溜まってくるともう分からなくなるので。
買った時にテープを貼っておくとか、何か目印をつけておくといいです。
MIDIは誰が作ったの?
MIDIが生まれる前は、どうだったのでしょう。
1980年代の初めまで、電子楽器はメーカーごとに楽譜の書き方が違いました。
他のメーカーの楽器とは、楽譜をやり取りできなかったんです。
スマホの充電器が、iPhoneとAndroidで違うみたいな不便さ。
そこで、共通の書き方を決めようという動きが始まりました。

MIDIができるまで
- 1981年
アメリカのシーケンシャル・サーキット社のデイブ・スミスさんが、共通のつなぎ方を提案しました。
Rolandの梯郁太郎さんや、アメリカのトム・オーバーハイムさんとも話し合ったと言われています。
↓ - 1982年ごろ
Roland、KORG、YAMAHA、KAWAIの日本4社と、アメリカのシーケンシャルが、一緒に基本の仕様を作りました。
↓ - 1983年1月
アメリカの楽器ショー(NAMM)で、シーケンシャルのProphet-600と、ローランドのJUPITER-6(資料によってはJX-3P)をつなぎました。
他社同士の楽器がMIDIで通信するのは、世界で初めてでした。
↓ - その後
日本でも、細かい仕様を補うために、日本MIDI規格委員会(JMSC)が作られました
↓ - 2013年
デイブ・スミスさんと梯郁太郎さんが、テクニカル・グラミー賞を受賞しました

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競い合っていたメーカーが手を組んで、世界共通の楽譜の書き方を決めました。
その書き方は、いまも使われています。
MIDIの発案者はひとりではありません。
日本とアメリカのメーカーが協力して生まれた規格です。

日本の機材は、なぜ評価されているの?
この記事を書きながら、ふと考えました。
TR-808、909、303、SL-1200、DX7、そしてMIDI。
世界の音楽を変えた機材には、日本のメーカーのものがたくさんあります。
MIDIの話から見えるのは、競争相手とも協力してみんなが使える標準を作ったことです。
世界で評価されている日本の名機に興味がある方はこちらも読んでみてください。
MIDI 2.0とは?
MIDI 1.0は、1983年から40年以上使われてきました。
そして2020年に、新しいMIDI 2.0の核になる仕様が採用されました。
日本の業界団体(AMEI)とアメリカのMIDI協会が、一緒に公開しています。
何が変わったのか、見てみましょう。
- 細かさ
強弱などが128段階から約42億段階になりました(ベロシティは約65,000段階)。
強弱記号が、なめらかな目盛りになりました。 - 双方向
楽器どうしが、お互いにできることを確認し合えます。
楽譜を渡す前に「その楽器で弾ける?」と聞けるようなものです。 - 互換性
MIDI 1.0の楽器とも一緒に使えます。
MIDI 2.0は、MIDI 1.0を置き換えるものではありません。
1.0を広げたものです。

私とMIDIの話
カラオケのMIDIクリエイターだったころ
私はカラオケのMIDIクリエイターをしていました。
カラオケの曲を、耳コピしてMIDIで作る仕事です。
正直大変なので、おすすめしません(笑)
大変なのはいろいろあるけど、MIDIのことで特筆するなら。
主要な指示記号(CC)の番号は全て覚える必要がありました。
ピアノのサステイン(CC64)のオンオフの打ち込みが、数が多いのでデータが止まっちゃったりとかね。
ギターのストラムを自然に聴かせるために、全てのベロシティを変えるなど…

susuman
最終的に、目を閉じたらこの世の全ての音がMIDIで見えるようになったので、退職しました(笑)
FM-1のファームが入らなかったとき
最近、とても困ったことがありました。
DAWレスに移行したのに、久しぶりに、DAWみたいなトラブルでした。
M-VAVE FM-1にカスタムファームウェアが入らなくなって、半日使いました。
原因は、MacのMIDIスタジオに残った古い機器のドライバ。
消して再起動したら、入りました。
こういうことってDAWだとよくあるけど。
シンセをパソコンに繋いでアップデートする系だとこういうこともあるんだなぁと。
くわしくは、こちらの記事に書いています。
私の今の答え

MIDIは、音ではなくて、デジタルの楽譜の書き方のルールです。
そのルールは、競い合うメーカーが手を組んで決めました。
日本とアメリカの協力で生まれて、いまも使われ続けています。
こういうのって、いいよね。
Buchlaが特許を1つしか取らなかったから、シンセが発展してきたように。
商売というマーケティングの中にはいても、手を組んで音楽シーンを発展させる瞬間がある。
これから先も、きっとそういうことがあって何かが大きく進化するんでしょうね。
あなたは、どう思う?
あなたはMIDIでどんなことがしてみたい?
